御池アートスクール・受験コース

  • 京都市立美術工芸高校入試説明会

    9月6日開催の京都市立美術工芸高校の入試説明会に参加してきた。
    入試の内容については誤謬を避けるため、実技入試作品の所感を述べるのとどめたい。入試実施内容は直接高校からの発表を参照頂けると幸いだ。
    入試参考作品は入試解答の扱いであるので厳重に撮影禁止が注意された。実技入試に関してはデッサン2時間、色彩2時間の表現だが、レベルは高いと感じた。
    デッサン、色彩とも共通しているのは、かなりの練習量によって支えられている実技の技術力の高さである。また、どのように表現したいのかという表現の意識というべき核がはっきりと現れている作品が選ばれている印象であった。
    トレーニングによって鍛えられた客観性の表現技術と主観のレベルの高さが両方現れている作品と思う。特に色彩表現は共感度の高い感動的な作品が多く見られた。
    美術入試の評価は基準がよく分からないと言われるが、説明会会場に並べられていた作品を見ればその基準というのが垣間見られるように思う。
    美術に関してはもちろんのこと様々な事柄に興味関心を持ち、それは中学校で学習される教科から得られる世界の事象というものへの関心、学校の学習以外でも得られる経験、思考の理解力の高さがあるのだろう。そしてそれらを自らの世界観として表現しうる技術の鍛錬を厭わない才能といった将来が楽しみという期待感が得られる表現が出来る人が選ばれているようであった。それは、知性と感性、意欲の高さがはっきりと分かるということだ。
    入試のほぼ半年前の時期(厳密には5ヶ月くらいだが)にこのような作品を見て大いに感じた受検生も多かったことだろう。会場で教室からの受検生と数名合ったので挨拶したが、皆さん目を輝かして入試の参考作品を嬉しそうに語っていた。価値がはっきりと分かったのだろうと思う。
    さて、画像は入試説明会の会場近くの鴨川河畔のネムノキが咲き誇っていたので青空を背景に写真を撮ったものである。9月に入ったところでまだまだ残暑が厳しいなかでさわやかな青空に対比するピンクの花の美しさが目にしみた。

    2025年9月11日(木)

  • 今年の受検生

    中学3年生のM君のデッサン。
    夏期講習で大根と紙風船を描いた。
    時間は夏期講習の授業時間帯の5時間30分。
    大根と紙風船は中学3年生の夏時点では難度の高いモチーフといえるが、立体感や質感、調子のまとまり、空間表現など含めても満足のいく作品に仕上がっている。
    M君は中学1年生の後半から教室授業に参加して、デッサンなど得意なためか、中学2年生の時点でほぼ入試レベルのデッサンは描けるようになっていた。
    今年はさらに高度なモチーフで、実技の幅を広げる試みになっている。

    2025年8月20日(水)

  • 静まった教室で明日の準備をする。

    夏期講習会は朝の8時15分から開始の早い時間帯で行われる。
    朝7時50分くらいから生徒が集まりはじまる。だから準備は前日の夜にすませておくことが必要なのだが、夜の9時まで授業があるから準備はその後となる。
    人数が多い日など夜の9時過ぎから始めても深夜近くに準備が完了する日もある。

    準備内容は、モチーフ類、課題類の配布と画用紙、下地敷き用紙配布。またテキストとなるプリント類の印刷やコピーなどが主な仕事である。
    授業をわかりやすくするための参考作品の掲示も重要である。

    朝から準備が整い、一斉にスタートすると参加者の熱気も上がる。それぞれの明確な目標に向かって集中が高まる。教室の空間も生き生きとしたものとなる。

    授業終了後は、静かな雰囲気となる。
    次の日の熱気を想像しながら行う準備の時間も好ましく思っている。

    2025年8月20日(水)

  • 五山送り火

    入居しているビルのオーナーに誘われて屋上にて京都五山送り火を見る。

    夏期集中講習会の次の日の準備をしているときにビルのオーナーに大文字を見に行こうと誘われた。点灯時刻は京都府南部に大雨警報が発令されていたので、はたして大文字が見られるのか懐疑的であった。
    ところが、エレベーターで8階までまで上がりプライベートな屋上空間から東の方角を見ると、赤々とした大文字を文字がくっきり浮かび上がっていた。

    教室は中京区の烏丸御池ビル群の一角にある。ビル群の隙間からの大文字ではあるのだが、小さく見えてもやはり感動する。

    京都五山送り火は盆に迎えた先祖の霊を送り出す行事。京の夏の夜空を彩る風物詩のひとつで全国的に有名だ。京都を取り囲む400メートル級の山の中腹に大きな文字が浮かび上がる。

    オーナーは去年お父様を亡くされていて今年の初盆でのお見送りとのことで感慨深いご様子であった。
    ご逝去のことは伺っていたので、私も大文字に向かって深く黙祷を捧げた。

    京都の夏は祇園祭で始まり大文字で静かに閉じる印象である。
    激しい雨のあとの残雨で見る大文字は、なぜか距離があるはずなのに、火のはぜる音や燃えさかる炎の熱が伝わるような気がした。

    2025年8月17日(日)

  • 中学3年生作品

    本年度の中学3年生
    IさんとM君

    色彩イメージテーマ「季節」

    Iさん

    M君

    二人ともリアル系。
    1期の7月くらいの作品で色彩基礎学習完了後のイメージ表現の序盤として取り組んでもらった課題です。4つ切り画用紙に描きました。

    2025年8月8日(金)

  • 石膏デッサン

     教室では基礎のデッサンをマスターした人がそのままデッサンコースを続ける場合、難度の高いモチーフとして石膏デッサンを行ってもらうことが多いです。
     石膏デッサンで使われる石膏像は神像であったり、歴史上の人物像であったりします。このような人物の形は描くことがとてもおもしろく、また難しいです。
     骨格や筋肉、顔の表情、全体的な奥行き感など、学習する要素は多く、石膏デッサンを1枚完成させることができるとデッサン力は飛躍的にアップしたと感じられるようです。
     いま、生徒さんが取り組まれている石膏像はアリアス像と呼ばれている像です。アリアドネ像とも呼びます。神話上の知性を司る女神とされていますが、現在の研究では、この像は実は男性像でお酒の神、バッカスという研究報告もあります。長髪だと外見が女性に見えてしまうので間違えられやすいのでしょう。いずれにしても、うつむき加減の顔の表情と豊かな髪型に特徴があり、繊細な光の加減が美しい像です

  • 籠を描く

    籠を描くのは大変難しく、デッサンのモチーフとしては難度が最も高い部類に入ります。

    籠の編み目の規則性を構造を理解し、遠近法をきちんとあわせて描くという作業は、かなりの集中力と思考力、分析する力が必要になります。 作者はデッサンを始めて1年未満の高校1年生。

    籠をよく観察し、何回も形を取り直して、構造を理解しながら完成させることができました。